思案と思弁

日記やらエッセーやらを載せていきます。

2023-01-01から1年間の記事一覧

今日観たアニメについて

・『アンデッド・アンラック』(1話) 原作は週刊少年ジャンプが積み上げてきたバトル漫画の伝統、つまり「車田正美的なもの(必殺技を叫び続けるターン制バトル)」と「冨樫義博(『ハンターハンター』)的なもの(戦略が勝敗を決する頭脳バトル)」の混淆・継承を…

【感想】『アリスとテレスのまぼろし工場』──相互監視と蹂躙の見られる歪な青春アニメとして

かなり面白かった。コンテンツ論とかキャラクター論を期待して行ったが(そして実際それに満足もしたが)、それ以外の部分──正直に言えば世界観設計──の部分でかなり胸が熱くなった。 神機狼、という設定があり、これは「ひび割れ」、つまりあるべき世界との…

性懲りも無く

AIイラストレーションに対して感じるある種の忌避感の源泉は、わりとその粗製濫造性にあるような気がする。粗製濫造とその大量公開の何がいけないかと言うと、その製作物は単純にセンスがなく下手だからだ。ツールを使った創作に求められるのは、ツールその…

「恋愛」と村上春樹

えー、自分が「恋愛」に対して屈折した思いを抱いているというのもあるのだろうが、随分と最近まで、村上春樹作品(『ノルウェイの森』とか)にはいわゆる恋愛、つまりヘテロセクシャルな男女が出てきて儀礼的なやり取りを経て愛を成就させる、という(しかし書…

景和のこと

そろそろ景和も帰還しそうなので、ここ数話に対しての雑感を綴ろうと思う。 正直に、端的に言えば、ここ数年の闇堕ちで一番乗り切れた、と断言できるだろう(次点で或人)。しかしなぜなのかと言われれば、これに答えるのは難しい。 ビジュアルやら演出やらの…

『シン・仮面ライダー』配信によせて、愚痴

シン・仮面ライダーに自分が期待していたのは、わりと『MGS4』の最終決戦みたいな感じだったのかもしれない、と最近思う。シリーズの総括としてのメタ演出。それがあれば、やっぱり僕はシン・仮面ライダーを手放しで肯定できたんだろうと。 嫌いな作品ではな…

感情なきシステムとか

ふと思ったのだが、生成AIがいずれクリエイターに取って代わるようになる、というような言説を広めている連中、あるいはそうした言説に否定的な感情を抱いていない連中のどれくらいが、実際に生成活動を行っているのだろうか。 連中の論理に則れば、AIは自分…

シン仮面について、改めて思いつくままに

わりとそこらで「『シン・仮面ライダー』は『ボーン・アイデンティティー』であり『バオー来訪者』であり『MGS4』(BB部隊周り)なんだよ!」みたいなことを言っているが、はっきりと記述したことはなかったと記憶しているので、改めてここに記載しておく。 し…

いまさら、『ねじまき鳥』について

本当に今更ながら村上春樹『ねじまき鳥クロニクル』を読み終わった。詳細な感想は後々書くとして、ここでは、この小説が僕に思い出させた様々なものについて書いていきたいと思う。 とは言っても、それはこじつけのような(妄想のような)想起に過ぎない。僕の…

本格的にこっちに移住したいが

本格的にこっちに移住したいが、何を書けばいいのか分からない、という問題があった。 #名刺代わりの小説10選を移すところから始めてみるのがいいだろうか。 (追加:ブックマークも制限されてるのね……)

Twitterから遠く離れて

今年に入ってからTwitterの不具合が相次いでいることは、インターネットに常駐している人々にとっては(僕も含めて)周知の事実だろうけど、「避難先」についての共通認識だとかコンセンサスだとかいったものはいまだ形成されていないように思う。 だいたい一…

澱んだ虹彩のために──『アイリス』雑感の雑感

大体すべての作品には「読み方」があるように思う。無論、鑑賞に正解はないのだが、鑑賞体験を満ち足りたものにするための、不可避の与件のようなものは歴然と存在するはずだ。少なくとも僕はそう確信している。 作品に、作品の持つ可能性に対して、適切に期…

「search/サーチ」(2018)雑感

偶然観る機会を得たので、映画『search/サーチ』を鑑賞した。最近公開された「2」ではなく古い方だ。といっても2018年公開なので、その描写は全く古びていなかった。度重なるバージョンアップを経ても、WindowsらしさやMacらしさは損なわれないものだな、と…

【雑感】終わらない冬、天国の片隅から

数十分前から、石川博品著『冬にそむく』を読んでいた。52ページにさしかかった辺りでそれを卓上に置くと、ほとんど衝動的な勢いでポメラを開き、テクストを紡ぐ作業を開始する。打鍵音は厭にはっきりと、埃まみれの室内の空気を打った。まるで責め立てるよ…